2010年5月19日水曜日

◇ビオトープのコンセプトを超えた現実

◇ビオトープにおける二つの大きな問題

 《東雲二丁目公園PES》の管理を任されて、今月5月で丁度一年になる。着任そうそう、二つの問題を抱え込むことになる。一つはヒートアイランド現象との戦いである。一両日給水しないとビオトープの底が見えてきてしまう。夏場で50~60mmが一夜で簡単に蒸発してしまう。50~60mmとは台風並みの豪雨でないと補給できない水量である。20㎡の面積の池とすると、ペットボトル(2ℓ)換算で500本~600本分の水が毎日蒸発している事になる。30階~50階の超高層ビルが7棟も立ち並ぶ江東区東雲超高層ビル地帯における典型的な《都市型ヒートアイランド現象》である。13年前のビオトープ設計時のコンセプトを超えた《現実》が存在しているという問題である。
 
 もう一つは生物生態の秩序を崩す《アメリカ・ザリガニ》の存在と繁殖の問題です。親ザリガニが一匹でもいたら、ねずみ算式に限りなく増える。その繁殖力は驚きである。一年前、復旧間もなくしてトンボが卵を産んでいる姿を見て、これはいけるかなと楽しみにしていた。しかし、三回ほどのザリガニ採集時にトンボの幼虫ヤゴをみることはなっかった。ヤゴはザリガニの恰好のエサである。一年かけたビオトープの再生は失敗したことなる。
 
 余談であるが、採集したザリガニを一週間ほどミネラル・ウォーターを飲ませ泥を吐かして《空揚げ》にして食べたが、エビとカニの両味でおいしかった。思いかけない発見である。食することは、場所によって重金属の問題があるので公にはすすめられないが、積極的に養殖して食料にすることも考えられる。

◇もう一つの大きな問題
 
 《ザリガニを駆逐する》は、ビオトープの再生と生物多様性の対策として管理上の絶対条件である。今月に入って、池の水を完全に干しカラカラにして《ザリガニ》を駆逐することにしたが、子供たちにとっては、唯一の遊び友達と遊び場を同時に失うことになる。養生も含めて一時完全に出入りを禁止しなければならない。それは可能だろうか。あらたな問題が発生することになる。
 

2010年3月15日月曜日

地上の水は水龍となって超高層ビルを駆け上がる

1月14日(木)ビオトープ《東雲二丁目公園PES》が初めて全面凍った。今年ビオトープに氷が全面的に張ったのは先にも後にもこの時だけであった。11日頃から最高気温が5℃前後、最低気温が0℃前後となり、16日には「水位」が±ゼロとなった。この時点で一応「底漏れ」の疑義ははれた。この後「水位」は2月5日頃までマイナス3~5mm間に留まった。2月末から3月上旬にかけて、気温の上昇とともに「水位」がマイナス5~10mm、10~15mmと下がっている事はその後の「水位」観測の結果からも自明である。

3月13日(土)現在受講中のビオトープ講座の野外実習として《仙台堀川公園PES》に行った。そこには大・中のビオトープがあったが、東雲二丁目公園PESと同じ大きさの《中》のPESには水道の蛇口はなかったが、しっかりと水はあった。ビオトープは自然の雨水という。公園の周辺には中層のビル・マンションがあっても超・高層ビル・マンションはなかった。単純な観察ではあるが、少なくとも辰巳水門(運河)沿えに7棟の超高層ビルが立ち並ぶ東雲地域の環境とは異なる。

超高層ビルの「人気」と冷暖房が吐き出す「排気」は《龍》が天に向って上昇するがごとく、周辺の「大気」と「水分」を巻き込んで超高層ビルの壁面を這い上がってゆく。これはまさに《ヒートアイランド現象》そのものである。この現象は、海辺から離れた内陸側に突然の《豪雨》《龍巻》《突風》となって現れる。大都市化と超高層化とともにこの現象はますます大きくなる。

中途半端な屋上や壁面への《緑化》促進の条件をつけても《地球温暖化》や《生物多様性》への解決策とはならない。この感覚的認識は、ビオトープの《水位観測》と《水補給》に日参する実感的体験から来ている。